2008-01-28(Mon)

BRICs 春秋(1/28)

春秋(1/28)
 
「BRICs」という呼び名は、すっかり耳になじんだ。ブラジル、ロシア、インド、中国。4カ国の頭文字を組み合わせた造語は、発音の歯切れも良い。「ブリックス!」。声に出してみると、なんとなく景気がいい気分すらしてくる。

▼これが「ブリークス」だったらどうだろう。ピリッとした感じが薄れ、ゆるんだゴムが頭に浮かぶ。もし歴史がほんの1文字分、違った動きをしていれば、今ごろ新興国の代名詞はIが1つ多い「BRIICs」だったかもしれない。2つめのIはインドネシアだ。OECDは95年の報告書で、同国を「次の経済大国」と称賛していた。

▼その“幻の大国”を30年以上率いたスハルト元大統領が亡くなった。94年にAPEC議長として自由貿易の「ボゴール宣言」を高らかにうたい上げた「開発の父」。97年のアジア通貨危機にくじけ、仁王立ちのIMF専務理事の前にひれ伏して政治改革を約束した「独裁者」。どちらも同氏の真実の顔である。

▼指導者を評価する歴史の秤(はかり)は、功と罪のどちらに傾くか。資源にも人口にも恵まれたインドネシアだが、経済力はBRICs4カ国と同格とはいえない。岐路がスハルト時代にあったのは確かだろう。人が代わり、時代が変わる。1度こぼれ落ちた1文字のI。その踏ん張りに期待したい。

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