2008-01-28(Mon)

オンリーワンの大阪目指せばいい 余録

余録:「オンリーワン」の大阪目指せばいい
 
大阪の都心を流れる堂島川のそばに小さな記念碑がある。稲穂を手に遊ぶ子供たちの銅像に「堂島米市場跡」との碑文が添えられている。高速道路の高架下で人目を引かず、ここが世界的な金融システムとなった先物取引の発祥地と

知る人は少ない▲「天下の台所」といわれた江戸期、周りには諸藩の蔵屋敷が並び、全国の米価格はここの米市場で決まった。1730年に幕府公認の取引所になり、世界最大のシカゴ商品取引所より100年以上も早い。先物の売買

や「デリバティブ(金融派生商品)」も大阪商人がつくりあげたシステムだ▲井原西鶴の「始末・才覚・算用」という言葉で表される大阪商法は、近江商人の努力によって磨かれ、東京へと広がる。大風呂敷を広げれば、創意工夫に満

ちた金銭哲学が大阪からグローバル化していったといえなくもない▲世界経済は同時株安の危機に直面し、スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では深刻な論議が交わされた。福田康夫首相は「21世紀型の

危機」と位置づけ、各国が協調して対処するように呼びかけたが、打開への道は多難だ▲一方の大阪では経済の地盤沈下に歯止めがかからない。大阪人は政治感覚にうとく、目先の利益にこだわりすぎると言われ続けてきた。だが、今

や低成長の経済社会を生き抜く知恵や構想力こそが求められているのかもしれない▲東京の一極集中にとらわれず、先進的な「オンリーワン」の大阪を目指せばいい。持ち前の才覚を発揮すれば、確かな未来が切り開かれる。稲穂を持った子供たちの銅像を見て、新しい大阪府知事にそんな希望を託したくなった。

毎日新聞 2008年1月28日 0時09分

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