2008-02-08(Fri)

二十則 春秋(2/8)

春秋(2/8)
 
米国のミステリー作家、ヴァン・ダインが1920年代に唱えた「二十則」というものがある。推理小説の基本ルールだ。「謎を解くすべての手掛かりは読者の前に記されていなければならない」に始まり、作法をあれこれ並べている。

▼作家が口を酸っぱくして指摘したのは、真相にたどり着く道筋に非科学的な考えや空想を持ち込むな、ということだ。読者の気を引くおどろおどろしい仕掛けなどは戒めている。およそ推理小説はきちんとした司法・警察制度への信頼があってこその読み物だ。「二十則」もそんな近代的な精神の産物に違いない。

▼世間を騒がせているギョーザ事件はどうだろうか。このミステリーは何者かがどこかで故意に毒物を混入したとの雰囲気が濃くなってきた。しかし、どうもあやふやな挿話が多く、読み手を惑わせている。それに日本と中国の間には捜査共助の仕組みがないから、双方の謎解きのプロたちも疑心暗鬼に陥りがちだ。

▼事件のあおりで冷凍食品の売り上げは大きく落ち込み、食品業界の再編まで立ち往生している。一刻も早く全容を究明するしかない。ここは日中両国が予断や余計な思惑を捨て、「謎を解くすべての手掛かり」を知らせ合うべきだろう。それが解決につながれば、この災いに満ちた物語にもいくらかの救いが残る。

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