2008-03-03(Mon)

ひな祭り 編集手帳3月3日付

3月3日付 編集手帳

 「源氏物語」須磨の巻に、3月の最初の巳(み)の日(上巳(じょうし)の日)にお祓(はら)いが行われ、人形を舟に乗せて海の沖合に流すくだりがある。古くから伝わる上巳の節句は、穢(けが)れを人形に付けて流す季節の神事だった◆子供の「ひいなあそび」(人形遊び)の習慣と一緒になり、3月3日の

ひな祭りとして定着したのは江戸時代という。江戸城の大奥は、将軍家の夫人たちが嫁入りする際に持参した贅(ぜい)をこらしたひな飾りに彩られた◆今年のNHK大河ドラマの主人公、天璋院篤姫の精巧な蒔絵(まきえ)のひな道具が、東京・両国の江戸東京博物館に展示されている◆薩摩藩・島津家

の分家の娘ながら、藩主の養女を経て13代将軍、徳川家定の正室となり、明治維新では薩摩藩と対峙(たいじ)した。波乱万丈の人生を歩んだ篤姫には、女性の幸せを願うひな祭りを迎えるたびに、どんな思いがよぎっただろうか◆近年は、ひな祭りを通じた町おこしが各地で盛んだ。福岡県柳川市で

は、還暦の女性のひな祭りを特別に祝う地元の風習を「還(かえ)り雛(びな)祭り」として復活させた。名前を書いた人形に厄を移して、掘割に流す◆徳島県勝浦町のビッグひな祭りでは、ピラミッド型25段のひな壇などに3万体の人形が並ぶ。全国から不要となった人形を引き取り、供養もしている。春を告げるひな祭りは、様々な形で継承されている。

(2008年3月3日01時48分 読売新聞)

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