2008-03-28(Fri)

国際カエル年 余録

余録:国際カエル年
 
緑と黄色のカエルが互いの色が汚いとケンカした。だが寒くなったので「春になったら覚えてろ」と冬眠してしまう。やがて春が来て2匹は起き出し、池で泥を落としてから勝負しようときれいな春の水につかった▲お互いの姿を見ると目の覚めるような緑色と黄色だ。「やあ、君は美しい」。2匹は共に相

手をたたえ合ってケンカをやめた。この童話「二ひきの蛙(かえる)」の作者、新美南吉(にいみなんきち)はこう話を結んでいる。「よくねむったあとでは、人間でも蛙でも、きげんがよくなるものであります」▲機嫌よく目覚めたカエルらが、新しい生命のリレーを始めた春である。しかし3億6000万年以上も

続くカエルたちの営みはかつてない危機を迎えている。そこで今年は、国際自然保護連合などが両生類の保護を訴える国際カエル年になった▲約6000種のうち3分の1から半分が絶滅の恐れがあるという両生類だ。開発による生息地消滅、化学物質による汚染、温暖化などの気候変動、オゾンホ

ール拡大による紫外線量増加など原因を挙げれば地球環境問題のリストができる▲なかでも差し迫った脅威はすでに数十種のカエルを絶滅させたツボカビ症である。このため世界の動物園や水族館が連携し、絶滅に〓(ひん)した種を危険が薄れるまで飼育施設で保護するプロジェクトが進んでい

る。題して「両生類の箱舟計画」だ▲気持ちよい春の水で機嫌を直した童話のカエルのように、皮膚から水や空気を体内に補給する両生類は環境の変化にひときわ敏感という。地球上の生き物としての大先輩のピンチにはしっかり手を差し伸べ、その身をもって伝えてくれる警告には素直に耳を傾けたい。

毎日新聞 2008年3月28日 0時00分

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